「現在地展2018」を見てきました
昨年の「現在地展」からはや一年。今回も生徒たち渾身の力作揃い卒業制作&進級制作展示会「現在地展2018」を見てきました。
神戸電子専門学校の非常勤講師として関わるようになって丸三年が過ぎようとしています。
入学してきたばかりの生徒たちが、2年間さまざまなことを吸収して卒業していく姿を見て、次の世代のクリエイターを育てることに関わらせていただけて、ありがたさと喜びを感じるようになってきたのは、わたしがそこそこの年齢になったと言うことか...。
昔話...わたしがデザインの仕事をしているきっかけ
そい言えば、わたしが、デザインで飯を食っていけたらいいなぁと思うようになったのは、学生時代のクリスマスアートショーに作品を展示したときの出来事がとても心に刺さったからでした。
当時、まだ何もわからない状態で渡米し、特にこれといった目的もない状態で美術大学に通いはじめて、最初のアートショー。まだろくな作品も作れないわたしに「この写真とても素敵だから、ちゃんとフレームに入れて展示しなさい」と先生から言われ、何点か展示した。自分的には特に思い入れもない、片田舎の古い屋敷で撮ったキッチンの写真。コンロにある古いやかんから湯気がでている感じのモノクロ写真だった。TRY-Xで撮影して自分で現像して暗室で紙焼きし、フレームも自分で作って展示したものだった。
アメリカ人のおばあさんと、小学生低学年くらいの孫らしき女の子が、わたしの写真の前で立ち止まり、ずっと長い時間話をしている姿を見て、この二人のお話のきっかけとなっているのは、自分が何気なく撮った写真なんだと気づき、それって凄いことだと思ったわけです。だって、そのときわたしは、英語がたいしてわからないのに、わたしの撮った写真が元で、アメリカ人のおばあさんと孫が何十分もコミュニケーションをとっているのですよ。驚きでした。
さらに、そのおばあさんに、その写真を作品として売って欲しいと言われました。
どうやら、何気なく撮った片田舎の古い屋敷のキッチンの写真が、おばあさんの古い記憶の中にある風景ととても似ていたそうで、いろんなことを思い出して孫にお話をしていたそうです。
お金を頂くほどの作品と思っていなかったので、タダでいいですよ。って伝えたのですが、そうはいかないちゃんと買いたい。ということで、では、フレームにかかった実費だけ数ドルいただいて、作品はクリスマスプレゼントいうことで手渡しました。初めて展示会に出した作品が、人の心を相当動かしたということにえらく感動して、こういうことを生業にするのって素敵だなと思ったのが、今まだこういう仕事をしているきっかけです。
「現在地展」で教え子たちが頑張った成果を展示して、見に来た方々にプレゼンしている姿を見て、そんな三十数年前のことを思い出しました。
今回の現在地展
例年どおり、1年生の神戸周辺の企業からのさまざまな課題をデザインやウェブで解決する進級課題制作の展示と、2年生の完全に自分が作りたいものを企画から制作、展示までやり遂げる卒業制作展示のエリアで、所狭しと作品が並んでいました。
片隅には、WEBエンジニアコースの1年生たちの展示エリアもあり、生徒たちが互いに説明しあっている姿に、とても嬉しく感じました。1年間、デザインとプレゼンの重要さをWEBエンジニアコースの子たちに言い続けてきましたが、わたしが時間をかけて言うよりも、こういう場で他の学生が展示している作品から感じ、体験する方が実感として身につくに決まっています。
そういう意味では、エンジニアを目指す生徒と、ウェブデザイナー・グラフィックデザイナーを目指す生徒、二つの学科が一緒に何かをやる場所はとても重要だと思いました。
今後のプロジェクトで、互いにコラボレーションが進むと、とてもいいものが出来るんじゃないかと思うとワクワクしますね。
ウェブ制作が得意な子、何十ページもある冊子を作ってる子、企画・プロデュース能力が抜群にある子、書道が素晴らしい子、イラストが得意な子、とそれぞれとても個性が出ていて、苦労しながらも楽しんで制作していて、わたしも刺激を受けましたし、この子たちが卒業してから、是非一緒に何かコラボしたいと思う作品がいっぱいありました。
今後が楽しみな子たちがいっぱいいるので、卒業して社会に出てからもいいものを作り続けるマインドを忘れないで欲しいなと思った一日でした。楽しかった!
頑張ったみなさん、お疲れさまでした。
- written by 岡田 陽一
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